コンピューターに払った犠牲1

心身症?

ウインドウズもXPの時代を終え、更に進化しているのかどうかは分からないが、とにかく安価にはなった。
使い勝手からしても、一昔前のDOSコマンドを覚えなければ使えなかった時代からすると、私たち素人でも画面を見てクリックしさえすれば、行きつ戻りつではあっても何とか使えてしまう時代である。

私自身は、自分のサイトを立ち上げるという目的があって、90年代後半に初めてパソコンに触れたので、時期的には比較的遅い。しかし、パソコンがマイコンと言われた草創期の人達を、別の観点からしばしば目にしていたので、ある意味、心情的には近しいものがあるのかもしれない。

昔、日航の片桐機長の事故の時に、この事故の特異性がクローズアップされ、「心身症」という病名が有名になってしまった。
この事故は、実は別の病気のせいだったそうだが、心身症という言葉がバカに有名になってしまい、病院でも心療内科という部門を置くところが多くなった。

ちょうどこの時期あたりから、私の周りでもプログラマの中に、心身の不調を訴える人が目だち始めた。
心身症に当てはまるのかどうかは知らないし、あるいは電磁波と関係があるのか、仕事のハードさのせいなのか、それともコンピュータ言語が人間の心身には不健康なのかは知らない。
しかしとにかく、他の職業に比べ、コンピュータ関係の人はとても不健康に見えた。

私がある時期、催眠療法、自律訓練法などを尋ね歩き、電磁波の問題にも凝ってしまって、電車の中まで電磁波メーターを持ち歩いたりもしていたのは、仕事の縁でコンピュータ業界の人々を眼にすることが多かった為でもあった。

死屍累々

電磁波に関しては同類も多かったようで、「私も電車の中に電磁波メーター持ち込みました!」というお便りもけっこう頂いた。
今でこそ、技術者の健康管理にはある程度の関心も払われてはいるのだろうが、それにはこういう過程を経て、知識が普及したということもあるのだろう。

その意味では、技術者達はまず、自分で自分の身を守らねばならないわけで、他の分野の人間が、果たしてどれだけのことをしてくれたのだろうか、という気がする。
じっさいにこの時代には、心身症に限らず名前のついていない病気の人は、行き場がなかった。病院で相手にされず、挙句の果てには占いやら祈祷やら民間療法を訪ね歩き、被害妄想に陥った挙句、果ては警察にまで駆け込むことも珍しくなかったという実情を、医者はどの程度ご存知だったのだろうか。
現在では状況は変わった、と思いたいが、どの業界もコストカットまっしぐらの現在、技術者の健康管理面もコストカットの憂き目を見ないとも知れず、安心はできない。

筆者の合気道仲間にも、優秀なプログラマでありながら、体調を崩して廃人同様になり、地獄の十数年を送った人がある。その人は自身でも治療の世界に携わるようになり、治療と平行して合気道の稽古を続けている。
この人は治療のお陰というよりも、コンピュータから離れた効果の方が大きいような気がする。「デジタル関係ならいつでも相談に乗るよ」と言ってはくれるが、「あんたの時代のコンピュータ知識じゃねえ…?新しいパソコン買った方が早いよ」とつい笑ってしまう始末。
この人は祈祷師のところへは行かなかったようだが、親がついていたら、どうしたか分からないだろう。

神頼みの中身は

どうも、文科系の人は祈祷とか神霊現象には深入りしないようだが、理工系の人は科学が極まると未知の世界に足を踏み入れざるを得なくなるのか、宗教や神霊世界に関心を持つ人が多い。
何となくこういう人々に係わっているうちに、私自身もこちらの方面にドップリ浸かってしまう結果になった。占いと宗教の世界に深入りしたのは、コンピュータから来る心身の症状に関心を持ったことも、大きく要因となっている感じだ。

しかし、宗教的なことに手を染める前に、医療催眠などという、一見科学的に見えそうなことを試してみないと納得しないのが、体質といえば体質だろう。自分がシャーマン的な体質の人は、そういう回り道をしないだろうし、反動なのか、宗教などはまったく馬鹿にして相手にしない傾向がある。
私が見たところ、どうも宗教や神霊世界に一番縁の遠いのが、心理学者のように見える。心理学は科学ではないとよく言われる。私から見ると、心理学がすでに一つの宗教みたいなもので、心理学者は各人が一種の教祖なので、他の教祖を認めたがらないように見えるのだが、たぶん私のサイトには、心理学関係の人の訪問は少ないだろう。

たまに来られても、神霊的な話の部分はお嫌いらしく、「根拠のある風水学だけちゃんと教えていただけば結構」という姿勢のようだ。
特にオーラソーマ(カラーセラピー)に風水で理論的な裏づけをしたいというタイプにこれが多いので、これははっきりとお断り申し上げている。
つまり私の認識では、オーラソーマ=ユダヤ教カバラの秘術なので、儒教、道教、仏教にルーツを持つ風水に無理に結びつけるのはおかしな話と思うからだ。相手と自分の本体を、きちんと認識していただきたいと思う。
もちろん、どんな人であっても、素直に学ぶ人に分け隔てをする積もりはないが、「カラーセラピーに役立てる為」という申し出じたい、都合の良い部分だけを切り取って別の目的に使われることが明白である。自分の土俵で相撲を取っていた方が、お互い幸せというものではないだろうか。

★註・現在は、医療催眠療法は医療の衣を脱ぎ捨て、「前世退行催眠」という、めっちゃ怪しい方向に向かっているようだ。ある意味これは、催眠療法への一つの道であることは否めないのだが、宗教的に十分な知識と裏づけのない人がこういうことに手を染める危険性を、甚だ軽く見ていらっしゃるようだ。

しかし、催眠療法のインターンをやっていたのは、私の履歴書に載らないデッドゾーンの一部分なのだが、ああいうことをやっていた時期、いったい何をして生活を立てていたのか、今考えてもどうもよく分からないのだが……。しかも女手一つで子供を抱えていたはずなのに…何とかなるものなのだろう。

 次へ | コンピューター1/3