寄生虫・Part1

トンでもなくビロウな話ですが、面白いのでもう気にしないで乗っけちゃう!キモチ悪いという人はスルーして!

寄生虫の紹介本はコレ!

最近、BOOK-OFFで藤田紘一郎著「笑うカイチュウ-寄生虫博士奮闘記」なる本を見つける。
1994年発行の定価1500円が半額の750円に、更に訂正されて100円。一も二もなく買う。

同じ1994年発行の亀谷了著「寄生虫館物語」1600円を持っていたので、これでワシが知る、当時の大衆向けの寄生虫紹介本の双璧がそろった。
その頃ラジオなどで、今なぜ寄生虫なのかなど、本と著者の紹介番組などもやっていた。
当時ワシは「物語」の方は本屋で買ったが、「笑う」までは買えなくて見送った経緯がある。古本で100円は素直にうれしい。

ワシは釣りやアウトドア雑誌などの「実用書」以外はまったく買わないし読まないが、この2冊に対しては少なからず関心を持っていた。そう、関心を持つ理由がワシには有ったのだ。

今一度「物語」を、そして100円の「笑う」を読んでみる。おおむね「物語」は、サナダムシ紹介や古代魚シーラカンスの解剖による新寄生虫発見など。
「笑う」はカイチュウ、ペット寄生虫、人が食する動物肉の寄生虫などが、主な内容になっている。

わしら子供の頃は、カイチュウやギョウチュウなどは普通に存在していたが、やはり学校の寄生虫検査、いわゆる検便などで引っ掛かり保険室に呼び出されるのは、衛生管理不行き届きの家庭に育ったようで、子供心にも嫌なものだった。

戦後は寄生虫保有率は60%とも70%云われていたらしいが、現在は人糞肥料の廃止や食生活の変化から、回虫保有率は0.002%であるとか。
また近年、大昔からヒトを終宿主とする寄生虫と人類とは、腐れ縁関係にあり、むやみに立ち切ることはヒトの健康の弊害に繋がると、研究発表がなされているのを聞いた人も多いだろう。

現代日本では寄生虫保有率の低下と共に、アレルギー疾患は増加しているらしい。タイでは依然寄生虫保有率が高く、反面、花粉症がほとんど無いという。
ヒトの体内で寄生虫が出す物質に、ヒトの免疫抗体が機能しているからで、それを失った現在の日本人は、体外からの花粉などの異常物質に過剰反応して花粉症を発症する、という研究もある。

ワシはギョウチュウなどはもちろん、幼少の頃から何回も進入され、駆虫剤で退治してきたが、奇しくも30歳くらいの頃に、カイチュウに寄生されたことが有る。

カイチュウ発見!

それは、思いがけずの発見だった。
当時ワシはヘビースモーカーで、日に60本のハイライトを吸っていた。出勤してから立て続けに3~4杯のコーヒーを飲み、煙草も3~4本をチェーンスモーキングしていたから、腹具合が悪くなることが多かった。
8時半はワシのトイレタイムと決まっており、毎日のように下痢を繰り返していた。

工事の現場監督をしていたワシは、ある朝、工事現場に向かう途中、いつもの腹痛と便意に襲われ、車を止めて物陰の草むらに駆け込み用を足す。
腹痛も収まりホッとして、産みたての軟便を観察してみる。

するとなにやら木綿糸ような、半透明の素麺のような物が、表面に横たわっている。
「オヤッ、昨日は何食ったかなー」と考えてみる。

そのうち、その横たわっていた素麺様物体は、半身を便の中に残したまま、ゆっくりゆっくりと起き上がり始めた。
10cm程を真っ直ぐ空中に立ち上げて、潜望鏡のように先端を360度ぐるりと回す。
続いてSの字を描くように、ゆっくり怪しげな動きをする。

まるで、スローで妖艶なアラビアンダンスを踊るように円を描きながら、上半身?でくねりくねりとうごめいている。
外気に触れて、環境の変化に苦しんでいるのか、または、今後の身の振りかたを案じて、周囲を偵察しているのか。

10cmの露出部分から推測するに、埋没部分は同じ長さか、少し長い位だろう。すると全長は20~25cm位だろうと見当をつける。
ワシはしばらく、その珍しくも艶めかしい寄生虫ダンスを鑑賞してみる。
立派に育ったなーと、見とれてばかりもいられない。
まだワシの体内には仲間がいるはずだ。残党討伐をやらねばならない。忙しいのに面倒なこっちゃ。

ワシはとある田舎町に住んでいたから、かかりつけの内科医院に行ってみた。総合病院の内科医長を長らくやっていて、医院を開業した先生だ。

医者「今日はどうしたね。また蜂にでも刺されたか。」
「先生、下痢便の中に何やら素麺様の寄生虫がでました」
医者「ほー、それはサイズも素麺くらいだったのかな?」
「はい、丁度そんな感じでした」
医者「薄くピンクかかっていなかったか?」
「それはよく判りませんでした。便検査とかするのですか?」
医者「うーん、検査しなくても、それはほとんどカイチュウらっちゃ。駆虫剤を処方するので、便をほぐして虫の死骸を確認しなさい」

かくして駆虫剤を飲む羽目になり、割り箸で便を崩してみる。中に素麺様の亡骸をいくつか見つけると、ワシのカイチュウ大家稼業は廃業となった。

友人に電話でこの話をすると
「ほー、大きいのは近頃珍しいかもしれへんでー。友達が大きいカイチュウを大学に標本寄付したら、えらい喜ばれた言うとったでー」

0.002%が正確だとすると、奇しくも50.000人のうちの1人に選ばれたことになる。1億3000万×0.00002=2600人しか、日本に回虫保有者はいない勘定になる。
選ばれし回虫エリートの一人に、仲間入りしていたのだ。
でもこれってほんまかいな?あまりにも少な過ぎやしないか??計算間違ってないのか?

しかし、やつは九州出身のワシの美しい日本語に比べると、三重出身なので、関西風なのか中部風なのか訛りがある。ちゃんと日本語を話せよ…。

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