悪石島の温泉

次いで悪石島に着く。人口59人。
島名の由来は海岸が険しい崖になっており、岩石ゴロゴロの危なげで恐ろしげな表情をしているとか、または平家の落人に追手が来たがらないようにとか。

港から約1㎞の湯泊温泉公園、ここでは無料キャンプと砂蒸し温泉・海中温泉・湯泊温泉が楽しめる。
ここのキャンプ場は、かって経験が無いぐらいの一級品、しかも無料。
無料砂蒸し温泉付き、もちろんトイレと水道があり、湯泊温泉(島外者は200円)が併設されている。

ただひとつ、キャンプしてみて分かったことだが、芝生に直に寝転がってはいけない。すぐにマダニのような生物に何か所も吸血されて、2週間も痕を残し、痛痒くてひどい目に合う。釣りは岸壁まで戻ってやるのがよさそうだ。

悪石島 険しい岩場 対馬丸1400余名犠牲

おや、道中に対馬丸慰霊碑が。
1944年8月22日、学童疎開船「対馬丸」が島の沖合で米潜水艦の魚雷攻撃を受けて沈没。
学童779人を含む1476名が犠牲になった。生き残った人々も10日間も漂流した記録がある。1997年にその船体発見されるも、国の発表では引き揚げは不可能とのこと。 
戦時の大変な過去。。。海に向かって合掌。

北西10㎞水深871mに横たわる 対馬丸関連の碑 墓碑銘が

そういえば10年ほど前、那覇のはずれで対馬丸関連の碑を見つけて撮影したのを思い出す。上の画像(現在は2004年建設の対馬丸記念館もあるとか)


白い屋根は砂蒸し温泉 A級のキャンプ場 蒸気で炊飯~失敗

悪石島小中学校、生徒5名 やすら浜港 砂蒸し温泉は寝そべってシート


キャンプ場から歩いてほんの数分、注意しながら海岸端の大きな岩に白ペンキの温泉マークを見つけると、そこが無料のワイルドな海中温泉。
ただ、この温泉が適温になるのは1日に4回、短時間のみ入浴可なので注意。

その他の大方の時間帯は、潮の満ち引きの影響で海水浴状態となるか、熱くて入れないかのどちらかだ。
それでも寒い時期で無かったら、その周辺の波打ち際に海水が白く変色しているところに湯が沸いているので、良さそうな所を探して強引に入浴できる。

島に商店はあるが、販売されている商品は焼酎、ビール、タバコ、醤油、塩、味噌などで、食品はラーメンの一袋も置いて無いのである。
現在、食品は鹿児島市の生協から各家庭が個々に購入し「としま」で運ばれるスタイルで、まったく食品は置いてないとか。
この商店も昼間はおおかた閉まっている。

海中温泉 波浪でこんなに ちょうど適温

こうなるともう熱湯 マイ温泉を発掘 白濁部分は湯が湧出

温泉三昧 寒い日は砂蒸し温泉で食事 レジ袋で疑似餌作る



欠航

日蝕観測範囲
とにかく温泉、飯食う、酒飲む、釣り、寝ると、極楽三昧の悪石島。島で2日目、昨夜は波浪も高く強風で、隣のキャンパーのテントが裂けた。
風を避けてテントを移動することにする。

防災行政放送が聞こえる。「ピン♪ポンポーン♪本日は海上時化の為、としまは欠航となりました」
ワシら「ありゃ!…明日かー」仕方ない。

翌日「ピン♪ポンポーン♪としまは欠航となりました」

そして翌々日「ピン♪ポンポーン♪としまは欠航となりました」

ワシら「うおー!もう今晩の食糧無いぞ。どうしよう」
ワシ「もういちど商店に行ってみる。食品が入手できなければ味噌舐めながらビールと焼酎の晩飯になるのかなー?」
リュックを背に、ジョギングで買い物に出かける。

商店で訪ねる「食品だったら何でもいいのでありませんか」
商店のおばさん「棚にある商品だけで、他には何にもありません」棚には先日見た塩や醤油、焼酎がぽつんと寂しげに並んでいるだけ。
仕方なく焼酎の一升パックを手に取る。
おばさん、我らがお腹空かすのを感じたらしい「…家のお米で良かったら少しあげましょうか…」
助かった、米が食える。代金は要らないというおばさんを押し切って、かなりな代金を支払った。これで炊き込みご飯が食える。

ついに4日目「ピン♪ポンポーン♪としまは欠航となりました」
こりゃまたなんてこった。
悪天候で釣りするどころではないこの数日、温泉だけは日に数回入浴する。

さて、更に一晩空けて防災行政放送「ピン♪ポンポーン♪ としまは○○時入港予定です。名瀬便に変更になりました」

「としま」は、鹿児島発の宝島終着便と名瀬終着便が交互に繰り返されるダイヤだが、この数日間の欠航で変わってしまった。
ばんざーい、船に乗れば売店とアイスクリーム自販機があるし、宝島に行けば販売所があるー。
このように厳しい離島の洗礼を受けることがある。

広い岸壁はヘリが着陸も 3カ月後には日食で混雑


あと3カ月すれば島は日食で混雑する。
2009年7月22日、日本で46年ぶりのに皆既日食が、悪石島付近を皆既中心として起こるらしい。
日食ツアーで、島の生活キャパを大きく超える400人が押し寄せ、ツアー料金がとても高額、30~40万円でテント暮らしだとか。
またそれが残念なことに暴風雨に終わったことは、後に知るところとなる。


宝島で
宝島、人口128人。
キャプテンキッドが財宝を隠したという伝説の島。ハッピーな島名である。
大籠海水浴場にキャンプ場が併設されており、テントキャンプは無料か100円位だった。屋根付き建物の場合は、何名使用でも1泊1000円だったか。


この島と小宝島にはトカラハブが生息するので、屋外や夜間は注意が必要だ。
ハブに比べると毒はかなり弱いらしいが、それでも噛まれると大ごとになるのは変わりない。

宝島での滞在日数は僅かだ。悪石島で予定外の滞在延長をしたので、下見程度の行動しか出来ない。
またいつか訪れることにしよう。

東海岸 釣り場のせんごどまり港は無人 帰路、開聞岳の夕日

2009吐噶喇の旅 おわり

2009年トカラ列島3/3